2016/03/23
『創る和紙職人 ハタノワタル氏の和紙を貼る』
職人さん達の無休の頑張りのおかげもあって、先が見えてきた。
彼らの職人魂の作品に恥じないように、仕上げにも力が入る。
先日、ハタノワタルさんの和紙が届いた。
今回はWCの壁面と建具、玄関の壁面へ施工。
手すき和紙の1枚のサイズはW910×H610。均一厚みで仕上がっており、透けなど皆無。
和紙は紙の化身となっても、どこまでも自然界のイキモノであって
糊を付けると水分を吸いこみ凄まじい伸縮率が発生。
乾燥時はパリっとした手触り、糊をうつと自重で垂れてしまう程クタクタに。
割り付けの隅をある程度描いて、和紙の施工は壁にそっとおいてくる感じで貼り、
重ねたジョイント部分は刷毛で上から軽く叩くように押える。
刷毛でなでる時も力を入れれば伸びまくり、寸法変形の原因に。
切りつけの際は、繊維を断つイメージで無理なく切断しないと簡単には切れない。
簡単そうでとても奥深い和紙の施工。
その癖を見込んで丁寧に貼りつける。これは急いではできない作業。繊細で大体に。
あっという間に乾くと、一枚ずつ異なる和紙の不思議な風合いが醸し出される。
手間のかかる和紙漉き。時間のかかる和紙貼り。
それが融合する事で価値のある空間に変わってゆく。
今回、僕は何か一つでも価値ある仕事をこの家に残してゆきたいと考えている。
今を住み継ぐ覚悟と、未来へ引き継ぐ願望が今の僕を支えてくれている。
先祖が残してくれたように、自分がこの時代に、この場所に生きてきた証を残したい。
ここからの仕上げ工事は自らの正念場。
全ての意識を集中して、怪我の無いように。
自分と真摯に向き合う時間。
培った技術、知恵を出しきって立ち向かおう。
全ては自分へのチャレンジ。
頑張れ自分。